物流部門や物流企業の機能の日々進化、商物分離の考え方


  • 物流の社内での位置付け

 

一昔前、物流部門は、どちらかと言うと敬遠されがちな部署でした。

しかし、物流の企業活動の中でSCMが伸展していくに従い、どの企業も物流の大切さを

認識してきました。

 

今までの物流の考えは、企業内で物が動くときの情報は、調達情報は調達部門が、生産情報は生産

部門が、そして、販売情報は販売部門がというように、各々の部門が個別に持っており、

その情報を同期化させている企業はほとんど存在していませんでした。

 

しかし、この調達、生産、販売の全てに関わっている部署が物流部門であると知ると、

物流部をSCM部と名称変更し、全ての情報をSCM部に統合しました。

 

そして、ERPと言うわれる統合ソフトを全社で導入し、受発注もSCM部で管理するようになって

きたのです。

 

これにより、物の流れの全ての情報がSCM部に集約されるようになりました。

 

ここまで行っていない企業であっても、物流部門は財務部・営業部・マーケティング部・システム部・

生産部と連携していきます。

 

物流部は企業活動の中ですべての部門と密接に関わっているということが良く分かります。

つまり、物流なしでは企業活動は成り立たないのです!

 

ちなみに、物流と対局にあると思われがちなマーケティングはAMA(American Marketing Association)

において次のように定義されています。

 

個人及び組織の目標を達成する交換を創出するために、アイディア、製品、サービスの規格、

価格設定、販売促進、流通を計画し、実施する過程である。

 

この中で、物流は流通計画と実施の一部になります。

 

つまり、物流もマーケティングに関わらなければ、そのマーケティング実施は十分なものでは

ないということです。

 

このように、物流は企業内での川上から川中、そして川下すべてに関わっていることからも、

企業運営を行っていく上での物流は重要な情報を持っていることが分かります。

 

つまり、物流が持っている情報を機能的にかつ効率的に使うことによって、優位な企業経営を行うこと

ができるのです。

 

  • 商物分離が果たして必要だろうか

 

従来のビジネス形態では、営業担当者が商品を納品するという物流の場面が多く見られました。

 

しかし、商物分離では、売買に伴うお金の流れである「商流」と、物の流れである「物流」を

別にすることになります。

 

商物分離を行うことで、営業担当者は物流となる物の管理や配達から解放されることになり、

本来の営業業務に専念することができるため、効率的な営業を行うことができます。

 

また、物流専任担当者が取り扱うことで、より専門的な物流のコントロールすることができます。

しかし、いざ自分のところで商物分離を行うことになると、「総論賛成、各論反対」の意見の人が

多いのが現実です。

 

例えば、営業担当者は物流を行わないことにより、そこに要していた時間が空くが、その時間をどの

ように使用したらよいかわからないので、反対するということが見受けられます。

 

よく使われる言葉で「2:6:2の法則」という物があります。

 

これは、組織の中で上位の2割は高い実績を上げる優秀な人であり、中位の6割は平均的な人、

そして、下位の2割は生産性が低い人問う法則のことです。

 

商物分離に反対する人は、これに当てはめると中位と下位の人々にあたります。

 

このレベルの人々には商物分離で物流を分離した場合の商流だけのビジネスのやり方や顧客企業への

アプローチ方法の指針も用意しなければ商物分離を成功させることができないのでしょう。

 

これはどの企業でも当てはまることであり、特別なことではないのが残念です。

 

商物分離を行い、物流管理会計を導入することで、見えてくることがあります。

 

それは、顧客毎の本当の利益です。

 

商物一体の場合は、顧客毎の売上重視、もしくは売上額から仕入値を引いた粗利益重視だったと

思います。

 

これで、本当の会社の利益が見えるでしょうか。

 

例えば、売上額が支店で一番大きな顧客であるが、発注単位は小口であり、1個2個での発注も日常

茶飯事である。

 

また、1日複数回の納品を強いられており、納品は店舗のバックヤードの棚に消費期限順に並べて後ろ

から棚入れしなければならない。

 

緊急発注が多く、発注があるために営業担当者の誰かが30分以内に配送しなければならない。

このような顧客を持つ企業も多いと思います。

 

これらの問題点の多くは物流です。

 

商物分離を行って、物流に要しているコストを目に見えるようにすることで、この顧客は売上額では

一番大きいかもしれませんが、利益額ではビリであることが判明するかもしれません。

 

また、商物分離を進めていく上で、経営者側として注意しなければならないことに人事的問題があります。

 

営業担当者から物流専任担当者へ配置転換をしなければならない場面もあるでしょう。

 

その場合、営業担当者は配置転換の理由に関係なく営業をしてきたことへのプライドがあります。

 

ゆえに、配置転換時には理由付けが必要でしょうし、場合によってはメンタルヘルス面でのサポート

も考えた方が良いでしょう。

 

※ちょっと参考までに!
カンバン方式
トヨタ自動車株式会社で導入されている生産手法であり、カンバンと呼ばれる伝票を後工程から前工程に
指示することで、必要なものを必要な時に必要な場所に揃える「ジャストインタイム」の概念を
実現させるものです。
いまでは、電子カンバンというものもあります。
部材を供給される製造業者は在庫を限りなくゼロに近づけることができますが、部材供給業者は、多頻度
納品を強いられる場合が多く、負担が大きくなるとも言えます。
また、カンバン方式は部材調達の中でもプル型にあたります。

 


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