JISで制定されている「物流の定義」の中に「5つの物流の領域」があります。
しかし、これらの領域の個々の項目はJISの中で用語として制定されていないものもありますので、
これら5つの領域がどのようなものであるのか説明したいと思います。
今行っている物流がどの領域に属しているのかを知ることで、自ずと何をやらなければならないかがわかってきます。
必ず、物流の領域と物流の活動をセットで理解してください。
①調達物流
「商品を製造するための原材料を購入し移動すること」、または「商品を購入する際の物の移動」が調達物流です。
販売者の手元から離れた後、購買者の倉庫や工場に到着するまでの物流であり、その間の物流費である調達物流費は商品価格に含まれている場合が多く見受けられます。
これは日本で多く見られる契約形態であり、商品価格と調達物流費を分けることができない構造になっています。
この商品価格に含まれる物流費のことを「みなし物流費」と言います。
一方、欧米では商品価格は本来の商品価格のみであり、調達物流費は商品価格とは別建てという契約が多くなっています。
この契約の場合、購買者が販売者の倉庫や工場から商品を引き取ります。
インコタームズでいうと、日本の取引形態はCIPであり、欧米はEXWです。
海外がEXW化している要因の一つは、海外では不動産価格が安価なため、大ロットで購入し、自社で巨大な倉庫に保管しておいても保管コストは少なく済みからです。
反対に、日本ではEXW化が進んでいません。
この要因の一つは、日本の不動産価格にあります。
不動産価格が高い日本では保管コストを最小化するために、1回あたりの購買数量が少なくなり、その代わり購買頻度が高くなるという構造だからです。
調達物流の手法に、JIT、カンバン方式やVMI等があります。
これらも、どちらかというと大量購入ではなく、多頻度少量の購買方法に適する調達手法です。
最近多く見かけるIPOは、国際化進展に伴って、原材料や部品を海外調達している企業や、複数の国で生産している企業が、日本国内に留まらず、グルーバルな視点で調達を行う事務所です。
多くの企業がシンガポール、香港や上海のアジア地域にIPOを設けており、調達行為のみの事務所ではなく、アジア地域さらには全世界の物流コントロールを行う機能を含まれる場合が多く見られます。
②生産物流
工場内で発生する物流と、生産に関係する物流が生産物流です。
範囲としては、調達物流後販売物流までの間の物流です。
具体的には、工場内の資材保管スペースから必要な部品を必要な量だけピッキングしてラインに投入するための原料在庫保管、横もち等の移動や荷役作業、完成した商品を段ボール箱に入れ梱包する作業と、工場からの出荷検品作業等を指します。
また、第一工場で半製品にし、第二工場で完成品にする場合に伴う工場間の移動も生産物流といいます。
第一工場と第二工場は別の企業という場合もあります。
③販売物流
完成した商品を売買に伴い移動させる場合の物流が販売物流です。
製造業者から卸売業者への売買に伴う移動、卸売業者から小売店への移動に加えて、小売店から消費者への移動もこれに含まれます。
調達物流や生産物流と比較して、1件(1回)あたりの物流量が少量になります。
最近の傾向として、多頻度少量の物流が増えています。
その顕著なものはコンビニエンスストアへの配送です。
コンビニエンスストアはバックヤードが狭く多くの商品を置くことができないため、1日に何度も物流センターから配送しなければなりません。
また、お弁当、おにぎり、乳製品、惣菜などのチルド品の販売が主流であることもその理由の一つです。
④回収物流
静脈物流やリバースロジスティクスとも呼ばれています。
日本では、古くからガラス瓶や古新聞の回収が行われており、これからの物流は回収物流と言えます。
その他、平成10年に法律として制定された特定家庭用機器再商品化法(通称:家電リサイクル法)では、小売業者に引取義務が課され、正当な理由がある場合を除き、小売業者は特定家庭用機器の廃棄物を排出する者から引き取らなければならず、その後、製造業者に引き渡すこととされています。
このスキームの中での物流は、まさに回収物流と言えます。
⑤消費者物流
「宅配、引越し、トランクルームなど、個人に対する物流サービス。通信販売・ネット販売に対する納品も含まれる」物流ウィ指します。
物流の対象領域の中で、この用語だけはJISで制定されています。
ネットオークションで売買が成立した際の商品の配送に宅配便を使用している人も多いはずです。
現在では、宅配便が社会インフラの一つであると言っても過言ではないほど生活に密着してきています。
これら物流の「定義」「機能」「対象領域」が物流の基本です。
何事も基本が大事です。物流においても、まずは、基本を身につけてください。
これらを別々に考えていくのではなく、複数の機能や領域を複合させることで、業務の効率化を図ることができ、コスト削減を行うことが可能になってきます。
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