サードパーティロジスティクスの基本概念


英語ではThird Party Logisticsと記載し、通常3LPと言います。

これは物流企業を指す用語ですが、物流企業の全てが3PLではありません。

3PLとは次のような物流企業のことです。

 

3PLの定義:JIS Z-0111-1003

「荷主企業でも物流事業者でもない第三者が荷主のロジスティクスを代行するサービス。倉庫。車両などの施設・設備がなくても事業化できる運営ノウハウをもとに、情報システム及び業務改革の提案を中心に長期的な管理目標を定め、達成した改善利益の配分を受ける者であるが、物流事業者が荷主企業のアウトソーシングニーズに広範に対応して一括受注するケースも含まれる」

この定義では、3PLは荷主企業でも物流企業でもないとあります。

物流事業者でないというところに疑問を感じるかもしれませんが、

「施設・設備がなくても事業化できる運営ノウハウがある」「業務改革の提案ができる」

「管理目標を定める能力を有する」「達成した改善利益の配分を受ける契約方式」というところが、

従来の物流事業者とは違うところです。

 

この中でも、業務改革の提案ができ、管理目標を定める能力があるというところが、特に重要です。

これの意味するところは、3PLは単純な運送や保管だけのような言われたことを行うだけの物流事業

者ではないということです。

つまり、3PLを標榜している物流事業者であっても、提案ができない者や、管理目標を定めることが

できない者は3PLを名乗る資格がないということになります。

業務改革の提案の例を挙げると、保管方法を変えることで保管効率を上げることや、保管坪数を

減坪するような提案がこれにあたります。

保管料を坪建で契約している場合、このような提案により3PL企業の売り上げは下げることに

なりますが、荷主に喜んでもらうことで、他の業務の受注に繋げたり、空いたスペースをたの企業

の業務で使うことで、他の企業からの売り上げを見込むことが可能になります。

よく、荷主企業と3PL企業との関係性は「win-win」であるべきだと言われますが、3PLの定義に

あるような「達成した改善利益の配分を受ける」契約方式を導入しているケースは少ないようです。

これは、両者間で業務開始前にSLAやKPI(重要業績評価指標)の取り決めをしていないために業務

改善効果を数値化できないケースや、荷主企業と物流企業間での力関係が原因のようです。

なお、3PLは次の2つに種類分けすることができます。

①アセット型と②ノンアセット型です。

①アセット型

3PLを標榜している運送会社や倉庫会社などの物流企業が、自社の資産(アセット)を活用して

物流業務を展開する者であり、従来とはアプローチをしながらも、基本的には自社の倉庫や

トラックと言ったアセットの最大活用を主眼においている形態です。

この場合の資産とは、車両や倉庫のことを指します。

 

②ノン・アセット型

コンサルティング会社などが展開する3PLでした。

倉庫やトラックと言ったアセットは持たないが、コンサルタント能力や情報システム等の専門的

能力を武器に物流サービスを展開している物流企業です。

荷主企業からみた場合のメリット・デメリットを挙げてみると、アセット3PLは、どちらかという

と自社資産を優先している考えることから完全に中立な形で提案する場合は少なく、物流施設の

提案は自社の遊休資産を活用しての提案になりがちな場合が多いです。

一方、ノンアセット型3PLは物流作業を再委託しているケースが多いため、作業の質や管理体制

ができているか、問題が発生した場合の責任体系がどのようになっているかという委託管理体制

を確認しなければなりません。

そのためには、契約書を締結し、かつSOPを作成することでお互いが行われなければならないこと

を取り決めて、責任範囲を明確化すべきです。

 

3PLとして必要な能力

JISの定義の中に「業務改革の提案を中心に長期的な管理目標を定め」とあることからも、3PL

には提案能力が必須です。

ここで、3PLが有しているべき能力をひも解いてみたいと思います。

3PLを標榜するためには、これらのうち複数の項目について提案できる能力を有していなければ

ならず、かつ、その能力に関して幅広く、深く知識を持っていなければなりません。

提案できる能力とは、顧客企業よりも深い知識と提案力がなければならないということです。

自社内だけでの知識や経験の蓄積、若しくは勉強会だけでは、物流事業者が力をつけていくのには

限界があります。

自社の殻を破って力をつけるためには、専門コンサルタントの力を借りたり、必要な知識を持って

いる人材を外部から採用したりすることも考えていくべきです。

 

3PLが必要な能力

1、輸送:荷主に指定された場所へ貨物を移動すること

2、梱包:商品の輸送・保管のために行う梱包作業

3、保管:貨物を一定期間倉庫に蔵置しておくこと

4、荷役:輸送機器への積み下ろし、倉庫などへの入出荷等の作業

5、在庫管理:在庫商品の量、期限(賞味期限等)の管理

6、流通加工:商品の簡易加工(組立、詰め替え、包装、商品名の表示、検品、値札貼り等)

7、返品・回収:顧客から返された貨物の回収及び保管作業

8、据え付け:納入先における商品の据付業務

9、求貨求車求庫:荷主からの貨物情報、運送(倉庫)会社からの空車(庫)情報をマッチング

させる業務

10、輸出入:貨物の輸出・輸入に関わる処理業務

11、情報:調達から販売までの「商品、輸送、拠点運営」を情報システムにより管理し、情報を

伝達する業務

12、コンサルティング:荷主が抱える物流課題の解決策を提案、実行(支援)する業務

13、その他:顧客関連業務代行(受注代行、代金回収)等

 


《この記事に関するお問い合わせは》
 テント倉庫の設計から施工、メンテナンスまで「安心一貫体制」で実施
 またテント倉庫に関わる倉庫内の生産設備の提案から導入までも対応!
 光精機はものづくりの現場を支えるパートナー
 有限会社 光精機
 TEL:048-562-0655(代表)/048-561-6563(営業)
 FAX:048-562-2624
 お問い合わせメール:sales@hikari-sei-ki.com